第18回学術総会(全国大会) 東京開催
2018年10月21日(日)、東京臨海副都心にあるタイム24ビル 13F 研修室134会場での開催となり、総勢約154名の参加で開催されました。
基調講演に加えて一般会員からの発表が9演題あり、活発な質疑応答が行われ、盛況な開催となりました。
- 日時
- 2018年10月21日(日) 9時45分から17時00分まで
- 場所
- タイム24ビル 13F 研修室134 (東京都江東区青梅2-4-32)
【開会の辞】
新井 達也 大会長・理事(埼玉県)
【会長挨拶】
山田 直樹 学会会長・理事(愛知県)
山田会長は、柔道整復師の業務は自己完結型であり、特にエコーを利用した診断は、正しい知識と技術に基づいたエビデンスが重要ですと強調されました。そして、この学術総会で様々なものを吸収して明日からの診療に活かしていただきたいと激励されました。
また、タイで行われた解剖セミナーについては、とても有意義ではあったが、会の公式行事とはせず、有志による企画として今後も続けていきたいとの報告がありました。
【基調講演】
座長:對馬 雅彦 大会長・理事(茨城県)
『超音波診断装置を利用した骨折の機能解剖学的運動療法』
桑名市総合医療センター リハビリテーション科
副室長 松本 正知 先生
基調講演には、『骨折の機能解剖学的運動療法―その基礎から臨床まで― 総論・上肢、体幹・下肢』など多くの書籍を出版されご活躍の、桑名市総合医療センターの松本正知先生にお越しいただきました。
ご講演では、拘縮に悩まされることが多い骨折治療における運動療法の考え方を、肩関節、手関節、膝関節、足関節を様々なUS画像を見ながらご説明いただき、参加された皆様は熱心に傾聴されていました。
【研究発表 第1部】
座長:西家 洋昭 理事(北海道)、矢島 勇 理事(埼玉県)
*印が発表者(演者)となります
1)「鼻骨骨折整復時における超音波画像の描出方法 ― ウォーターカプラーの有用な使用方法―」
宝塚医療大学保健医療学部
*池田 財(大阪府)
澤田 規(京都府)
おくやま整骨院
原口 卓人(大阪府)
おくやま整骨院、
宝塚医療大学保健医療学部
奥山 建志(大阪府)
鼻骨骨折の整復時に超音波画像を描出するためには、エコーゼリーやゲルパッドカプラーより、フィット性の高いウォーターカプラーを使う方が有効であったとの発表がありました。
2)「変形性膝関節症に対する関節周囲の石灰化との関連について」
大川学園医療福祉専門学校
*原田 武彦(東京都)
はらだ鍼灸整骨院
東 智博(東京都)
原田 知彦(東京都)
エコー観察で膝OAの石灰化が確認でき、関節水腫が陽性であった例は、陰性に対して高い頻度で石灰化が観察出来た。また、石灰化が確認できた膝は、運動痛がある傾向が示唆されたとの発表がありました。
3)「超音波観察における再現精度向上の検討」
かなざわみなみ接骨院
*永田 和輝(石川県)
徳田 仁志(石川県)
超音波観察における再現精度を向上させる手段として、アクリル板を用いてみたが、有効性は立証できなかった。超音波観察教育には、プローブと体表の密着性の高い部位を選ぶことが有用であるとの発表がありました。
4)「肘関節後方脱臼を伴わなかった尺骨鈎状突起骨折の超音波観察」
おなりばし接骨院
*髙橋 達徳(東京都)
帝京千住接骨院
原 明弘(東京都)
運動選手の競技特性を十分に考慮した、競技別の超音波観察方法や評価の定量化が、必要であるとの発表がありました。
【研究発表 第2部】
座長:徳田 仁志 理事(石川県)、曽山 良之輔 東日本副支部長(新潟県)
*印が発表者(演者)となります
5)「スクワットにおける大腿四頭筋とハムストリングスの関係及びその筋活動」
藤沢長後接骨院
*望月 真(神奈川県)
スクワットの股関節伸展型は主にハムストリングスが大きく動くが、他のスクワットでは少ないと言える。羽状角変化や筋厚変化は、筋出力レベルと一致しない為、超音波では筋出力レベル評価は難しいと考えるとの発表がありました。
6)「Fasciaの概念から膝前部痛症候群を捉える」
瑞穂接骨院、瑞穂スポーツ鍼灸治療院
*橋本 高侑(愛知県)
山田 直樹(愛知県)
膝前部痛症候群に対し、膝蓋骨表層のリリース操作によりfasciaの柔軟性・LAFSの可動性が向上することが分かった。結果は良好だが、エビデンスとするには不十分今後多くの症例で検討することが課題であるとの発表がありました。
7)「肩関節前方脱臼における整復前超音波検査について」
もりよし整骨院 *守永 和哉(大阪府)
まえだ鍼灸整骨院 前田 尚利(三重県)
宝塚医療大学保健医療学部 澤田 規(京都府)
おくやま整骨院 原口 卓人(大阪府)
宝塚医療大学保健医療学部 奥山 建志(大阪府)
肩関節前方脱臼に対し、脱臼の整復前に超音波診断装置を用いることで、画像による合併症の評価に有用であると考えられる。より簡易な描出方法を今後の研究課題としたいとの発表がありました。
8)「若年者における後脛骨筋腱の形態が偏平足に及ぼす影響」
宝塚医療大学
*立山 直(大阪府)
澤田 規(京都府)
アーチ効率の高低に対してTP腱の硬度と厚さに差があるか超音波診断装置で検証した結果、厚さはアーチ効率には影響していないが、硬さは影響を及ぼしている可能性が示唆されたとの発表がありました。
9)「小児足関節捻挫の超音波観察 ― 骨不正像が描出された一症例 ― 」
瀬戸整骨院
*坂本 明広(東京都)
小児足関節捻挫に伴う剥離骨片は、レントゲンでも確認できないことがある。成長期・小児の軽度の捻挫は、徒手検査のみでは損傷の程度の把握は困難であることから、超音波診断装置による観察は重要であるとの発表がありました。
今年の研究発表は2部構成9演題のエントリーとなり、各会員からは、熱のこもった発表がありました。各発表とも非常に興味深い話が多く、各発表終了後には座長主導の元、フロアから沢山の質問が飛び交う場面もあり、非常に盛況な「研究発表の部」となりました。
【教育セミナーの部】
-(肘関節)-
講師:坂本 哲也 学会認定講師(埼玉県)
インストラクター:
坂本 明宏(東京都)、望月 真(神奈川県)、荒畑 勝一(東京都)、
石田 岳彦(千葉県)、川村 大貴(埼玉県)
教育セミナーは、本会の認定講師である坂本先生により「肘関節」をテーマに実施いたしました。
内側側副靭帯前斜走繊維「AOL」や、上腕骨外側上顆炎、内側型野球肘などの症例の紹介を中心に描出の為の知識と技術、読影と考察、判断方法を解説していただきました。
その後、実習内容ごとにレベルブースを分け、受講者それぞれのレベルにあったブースで実技実習を学んで頂きました。必要とされる解剖学の知識やプローブ走査の方法から最新の知見を踏まえた実践的な内容の情報交換まで、受講者のレベルによってブースが用意され、ご自身にあったブースを見つけて頂き、会場内に配置された各装置に付くJSBMインストラクターの指導のもと、実際に超音波画像診断装置を使って、対象部位の描出を体得していただきました。
※会員セミナー(実技講習)の様子
【優秀発表(最優秀賞、優秀賞)の表彰】
竹市 勝 学会副会長・理事・諮問委員(東京都)
最後にJSBMの竹市勝副会長より優秀発表として最優秀賞1名、優秀賞1名が発表され、学術総会は盛況のうちに終了しました。
表彰に関しては、今回の投票では、表彰された方の発表は今後の研究が期待されるものであり、分かりやすく説明されていたとして評価が高かった。その他の発表も僅差の評価であり、今後この経験をもとに研鑽に励んでもらいたいとの激励がありました。
2018年(平成30年)第18回学術総会(全国大会) 最優秀賞
橋本 高侑 会員(愛知県)
2018年(平成30年)第18回学術総会(全国大会) 優秀賞
立山 直 会員(大阪府)
【閉会の辞、連絡事項】
竹市 勝 学会副会長・理事・諮問委員(東京都)
「柔道整復師が超音波画像診断装置を使用する時は、知識や技術に基づき正確に正しく使用しなければならない。当学会では、柔道整復師の超音波診断が社会的に客観的に評価されるように、基礎運動器系超音波技師や臨床運動器系超音波技師の資格試験を実施しているので、ぜひ、資格試験を受けていただきたい。」」と述べられた。