一般社団法人日本超音波骨軟組織学会  Tha Japanese Society of Bone and Muscul Ultrasound

第50回 超音波ハンズオンセミナー初級編(福岡開催)

令和元年6月9日、日本超音波骨軟組織学会認定第50回 超音波ハンズオンセミナー初級編が、北九州市にあります九州医療スポーツ専門学校(福岡県北九州市小倉北区馬借1丁目1-2)で開催されました。総勢68名の参加者にお集まりいただき盛況に開催しました。

日時
令和元年6月9日(日)9時50分から16時00分
場所
九州医療スポーツ専門学校(福岡県北九州市小倉北区馬借1丁目1-2)

【開会の辞・連絡事項】

富田 孝次 賛助会員(茨城県)


【基調講演】

座長:勝田 淨邦 学会理事 (福岡県)

『筋・筋膜やその周辺の構造を知る-運動器疾患の評価や治療のために-』

大分大学 福祉健康科学部 理学療法学コース
教授  河上 敬介 先生

河上先生からは、「筋膜とは、筋肉を包む薄い膜のことで、体全体に張り巡らされ、表層から深層まで立体的に包み込んでいる組織のことをいい、柔らかい組織なので、萎縮・癒着しやすくコリや痛みの原因となる。

このコリや痛みを治療する理学療法には、筋膜リリースをはじめとして、皮膚や関節包、筋、筋膜など様々な治療対象を想定した力学的刺激法があるが、ただ単一組織のみに刺激を与える治療法は無い。 治療メカニズムを考えるには、皮膚のレセプター、筋膜(皮下組織ではない部分)にもC線維が豊富であること、それらの受容器にも刺激が加わっていることを考察すべきである。」とご講演いただきました。


【症例発表】

座長:大原 康宏 学会理事(福岡県)

「遠位上腕二頭筋腱損傷の保存療法」

みより鍼灸整骨院 三好 雄治(山口県)

「遠位部での上腕二頭筋腱損傷は比較的まれなため、当該疾患が念頭に無いと見逃がしやすい。そのため診断に難渋することがあり、観血的治療が選択されることが非常に多い。今回、エコーでの観察により遠位上腕二頭筋腱部分断裂と判断し、整形外科に対診した結果、MRI所見で同一の診断結果を得た。 患者の希望により保存療法を選択し、良好な成績を納めたが、今後の課題として、損傷のStage分類、type分類の必要性を感じた。」との発表がありました。 

「腰部における肉離れに関する一考察」

奈須接骨院 奈須 崇倫(宮崎県)

「エコー画像の判別で腰部肉離れと判断して圧迫固定での治療を実施し,競技をしながら症状が改善した症例があった。ただし、自覚症状とエコー所見が一致しないこともあったため、エコー所見はあくまで判断材料の一つと捉えるべきだと考えた。
しかしながら、これまで把握できていなかった患部の病態を理解し、より早期に痛みの原因を発見できれば、さらに早期に回復が図れることが考えられるため、今後、徒手検査とエコー観察の所見との整合性を高め、見極める技術の研鑽に励みたい。」との発表がありました。

「踵立方靭帯を描出する際のランドマークの検討」

わだ整骨院 和田 美和(福岡県)

「踵立方靭帯の描出の際、通常は、踵骨と立方骨の形状をランドマークにするが、立方骨上の外側足根動脈は圧迫しても容易に消失せず目立ちやすい為、ランドマークの一つとして有効ではないかと考える。」との発表がありました。

「肘内障(pulled elbow)に於けるJ-signの検証」

小幡接骨院 小幡 龍生(熊本県)

「小児外傷における肘内障を、ランドマークを上腕骨外側上顆・橈骨頭部として、輪状靭帯と共に回外筋が腕橈関節内に引き込まれるJ-signの検証を試みた。
結論として、J-signを的確に描出、判断するのは困難であり経験を要すると思われるが、J-signと確認する事が出来れば確信をもって整復できる。」との発表がありました。

「膝窩筋腱と外側半月板の損傷の鑑別と超音波描出について」

すみだ整骨院 橋本 紘太郎

「膝窩筋腱損傷と外側半月板損傷を見分けるには、発生要因や、動的要素、形態的要素を考慮しなければならない。その上で、膝窩筋腱溝の位置を正確に確認することが必須である。膝窩筋腱周囲には、腸脛靭帯や外側側副靭帯、外側半月板が存在する為、膝窩腱損傷であっても異なった診断名が付くことがあり、正確な触診、検査を行うことが求められる。」との発表がありました。

パネリスト:
金田 晋(愛知県)、勝田 淨邦(福岡県)


【教育セミナーの部】

初級編 観察部位 -「肩関節 」-

講師:金田 晋  先生  学会理事・認定講師(愛知県)

午後からは、金田先生による「肩関節の観察」をテーマに症例画像も参照しながら、解剖、症例、抽出方法などの講義に加え、実際に装置を使った実習で臨床的な活用方法を学ぶ『教育セミナー』を実施しました。

『教育セミナー』では、エコーに関する音響工学や解剖学・機能解剖の説明から始まり、前方走査や後方走査などの各種プローブ走査方法、腱板断裂等の症例画像の鑑別をテーマに、描出の為の知識と技術、読影と考察、判断方法を解説しました。

その後、実習内容ごとにレベルブースを分け、受講者それぞれのレベルにあったブースで実技実習を学んでいただきました。

必要とされる解剖学の知識やプローブ走査の方法から最新の知見を踏まえた実践的な内容の情報交換まで、受講者のレベルにあったブースが用意されました。会場内に配置された各装置に付くJSBMインストラクターの指導の下、実際に超音波画像診断装置を使って、課題として出される対象部位の抽出を体得しました。

インストラクター:
小幡 龍生(熊本県)、大原 康宏(福岡県)
和田 美和(福岡県)、勝田 淨邦(福岡県)
他、基礎運動器系超音波技師 資格取得者


※実技風景の様子
「大変参考になりました。 使用する機会を増やしていくモチベーションが上がりました。」「お疲れ様でした。刺激を受けました。」などの意見がありました。


【Q&Aコーナーの部】

座長:勝田 淨邦  学会理事(福岡県)

事前アンケートで頂いた質問に、パネリストの先生方に答えて頂きました。

パネリスト:
金田 晋(愛知県)、大原 康宏(福岡県)


【閉会の辞】

富田 孝次 賛助会員 (茨城県)

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