(JSBM)日本超音波骨軟組織学会 東日本支部
2008/9/18
平成20年9月14日(日)、大阪の富士通関西システムラボラトリ8階セミナールームBにおいて、日本超音波骨軟組織学会第8回学術総会(全国大会)が、総勢132名の参加者を迎えて盛大に開催されました。

【開会の辞】
 学術総会(全国大会)は、増田雅保大会実行委員長・学会副会長による開会の辞によって幕を開けました。本日、本学会では初めてのご講演をお願いする、永田裕人先生の簡単なご紹介等も交えてのご挨拶でした。

増田 雅保 先生
(大会実行委員長、学会副会長・西日本支部長)

【会長の挨拶】
 引き続き、中村辰三学会会長よりご挨拶がありました。まず、この第8回学術総会(全国大会)が、当地大阪で無事開催される事へのお礼の言葉と、開催に携わった関係スタッフ、及び理事の先生方への労いの言葉がありました。
 また、最近の技術革新により超音波診断装置の画像解像度が飛躍的な進歩を遂げたこと、画像の読映力を身に付けるにはたくさんの画像を見る事が大切であり、今後、柔道整復師の先生方がこのような勉強の機会を活用して正確な病態把握の為のスキルアップを図り、社会的にも「エコーを扱う専門家の一人である」と認められるような輪を広げていきたい、という願いが述べられました。

中村 辰三 先生
(学会会長、森ノ宮医療大学副学長・教授、学術博士)

【研究発表の部】

 学術総会は最初のプログラムである研究発表第一部へと移り、座長には山田直樹先生、副座長には奥村卓巳先生が務められました。

副座長:奥村 卓巳 先生(愛知県)

座長:山田 直樹 先生(愛知県)


  まず、近藤英隆先生(愛知県)による「SLAP lesionの超音波観察〜徒手検査を併用した超音波観察〜」、その後、嶋木敏輝先生(千葉県)による「Bモードより得た水平スライス画像の研究 〜Bモード、2D、垂直スライスの連動について〜」「Bモードのスライス方向追跡の研究」の発表がありました。
 近藤英隆先生の発表後の質疑応答では、実際に超音波診断装置とモデルを使っての、肩関節周囲における烏口突起、上腕靭帯、関節唇等の画像描出が実演形式で行われ、参加された会場の皆さんの関心を集めました。
 また、当初第2題の「Bモードより得た水平スライス画像の研究〜Bモード、2D、垂直スライスの連動について〜」の発表を予定していた石橋和正先生は、所用で参加ができなくなった為、急遽、共同研究者の嶋木敏輝先生が代理で発表される形となりました。

研究発表1
「SLAP lesionの超音波観察
〜徒手検査を併用した超音波観察〜」
近藤 英隆 先生(愛知県)

研究発表2
「Bモードより得た水平スライス画像の研究
〜Bモード、2D、垂直スライスの連動について〜」

研究発表3
「Bモードのスライス方向追跡の研究」
嶋木 敏輝 先生(千葉県)

 ※研究発表2のプレゼンテーションを予定していた石橋和正先生(千葉県)は、所用で参加ができなくなった為、急遽、共同研究者の嶋木敏輝先生が代理で発表されました。
【基調講演】
 そしてプログラムは、医療法人永田整形外科理事長の永田裕人先生による「整形外科領域における超音波診断」をテーマとした基調講演へと移って行きました。基調講演の司会には中村辰三会長が就かれました。
  永田先生は、「1.外傷、2.炎症、3.軟部腫瘍、4.脊髄腫瘍、5.その他」とテーマを大きく5つに分けてお話しされました。
  1.の外傷では皮下血腫、筋損傷・断裂、靭帯損傷、腱損傷
 2.の炎症では滑液包炎、滑液嚢腫(Baker’s cyst)、ガングリオン、足底腱膜炎、アキレス腱周囲炎
 3.の軟部腫瘍、
 4.の脊髄腫瘍(馬尾腫瘍)、
 5.のその他では先天性股関節脱臼、手根管症候群、筋性斜頚と、

  長年の臨床現場で培われた豊富な経験に基づき、症例データを、超音波画像は勿論のこと、MR、CT、レントゲン画像や術中に摘出した腫瘍の写真など、我々が日常見ることのできない貴重な画像を交えて、多数解説いただきました。
  ご講演中には、診療所が甲子園と近いことから、野球の試合中に興奮してネットから飛び降りた観客が両足を骨折して運び込まれた…、など、地域ならではのエピソードや、スライドの合間に京都の清水寺や、その他にも美しい風景の写真など数枚を織り込まれるなど、会場の緊張を一瞬解きほぐすようなお心配りもされながらのご講演となり、聴講者は皆スクリーンに引き込まれ、とても有意義な時間となりました。

基調講演「整形外科領域における超音波診断」
永田 裕人 先生
(医療法人 永田整形外科 理事長)

【研究発表第二部】
 昼食休憩を挟み、午後からは予定どおり研究発表第二部が開催されました。座長を服部吉信先生(京都府)、副座長を金田晋先生(愛知県)が務められました。
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副座長:金田 晋 先生(愛知県)

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座長:服部 吉信 先生(京都府)

 研究発表は、立山直先生(大阪府)による「肩関節疾患におけるエコー検査と一般撮影・MRI所見の比較検討」、清水俊正先生(大阪府)による「LIPUS(低出力超音波パルス)の臨床応用例〜変形性膝関節症の1症例〜」、増田雅保先生(大阪府)による「足関節ATFL完全断裂の保存療法」、そして小林久文先生(長野県)による「オーバーヘッド様動作における上腕二頭筋長頭腱の動態観察に関する検討」の順で行われました。
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研究発表4
「肩関節疾患におけるエコー検査と
一般撮影・MRI所見の比較検討」
立山 直 先生(大阪府)

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研究発表5
「LIPUS(低出力超音波パルス)の臨床応用例 〜変形性膝関節症の1症例〜」
清水 俊正 先生(大阪府)

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研究発表6
「足関節ATFL完全断裂の保存療法」
増田 雅保 先生(大阪府)

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研究発表7
「オーバーヘッド様動作における上腕二頭筋長頭腱の動態観察に関する検討」
小林 久文 先生(長野県)

【教育セミナー】
 その後、10分間の休憩を挟み、プログラムは教育セミナーへと移りました。 教育セミナーは会場を二つに分けて行われ、初級編「上肢」は引き続き8階セミナールームBで、奥村卓巳先生(愛知県)と金田晋先生(愛知県)を講師に開催されました。
  始めに、奥村卓巳先生によるプレゼンテーションが行われました。超音波画像のみならず、解剖のイラストやMRI・レントゲン画像との比較を駆使されたご説明は非常に解り易いもので、金田晋先生による実演と共に、その後実技講習に挑まれた参加者にとって、非常に参考になるものでした。
  実技講習では、山田直樹先生(愛知県)、寺原雅典先生(宮崎県)、服部吉信先生(京都府)、小林拓也先生(大阪府)、酒本哲聖先生(大阪府)、山根款先生(大阪府)の6名の先生方がインストラクター役を担当され、その丁寧なご指導を受けながら、たくさんの参加者が熱心にプローブ・ワークの習得に取り組まれました。

講師:金田 晋 先生(愛知県)

講師:奥村 卓巳 先生(愛知県)

〔教育セミナー初級編「上肢」の様子(8階セミナールームB)〕
【入門編】
 また、初心者の方々に大変好評をいただいている入門編は、初級編と並行して、会場を同じ8階の多目的ホール2へ移動して行われました。大原康宏先生(福岡県)に講師をご担当いただきました。
  超音波診断装置を安全に、かつ有効活用する為に必要な音響工学等の基礎知識・四肢描出に必要な操作手順などを、プレゼンテーション形式で詳しく解説していただきました。時には受講者からの要望に応えて、実際の超音波診断装置のプローブを大原先生自らが手に取り、画像描出の実演をされるシーンも見られました。描出された超音波画像に見入る、参加された先生方の真剣な眼差しがとても印象的でした。
〔教育セミナー入門編の様子(8階多目的ホール2)〕

講師:大原 康宏 先生(福岡県)

【優秀発表の表彰式】
 教育セミナーの終了後、本会場の8階セミナールームBにて、優秀発表の表彰式が行われました。会長賞には研究発表第一部で「Bモードのスライス方向追跡の研究」を発表された嶋木敏輝先生(千葉県)が選出され、大会賞には研究発表第二部で「オーバーヘッド様動作における上腕二頭筋長頭腱の動態観察に関する検討」を発表された小林久文先生(長野県)が選出されました。
 大会賞のプレゼンターは竹市勝学会理事・諮問委員が担当されましたが、受賞された嶋木敏輝先生が所用で既に退室されていた為、受賞の発表のみとなりました。
 また、大会賞のプレゼンターは佐藤和伸副会長・理事が担当され、受賞された小林久文先生に表彰状が授与されました。
〔優秀発表の表彰の様子〕

佐藤和伸副会長・理事より、大会賞を受賞された小林久文先生に表彰状が授与されました。
※会長賞を受賞された嶋木敏輝先生は、所用ですでに退室されていた為、受賞の発表のみとなりました。
【閉会の挨拶、連絡事項】
 最後に、竹市勝学会理事・諮問委員より閉会の辞があり、各学術集会や分科会において、会員の皆さんにさらに積極的に研究発表をしていただきたいこと、教育セミナーの初級編を修了された方には、中級編へのステップアップや運動器系超音波技師試験に挑戦することへの勧めが呼びかけられました。そして、連絡事項として今後の開催案内のアナウンスがあり、第8回学術総会(全国大会)は無事終了しました。

竹市 勝 先生
(学会理事・諮問委員、国士舘大学准教授)