日本超音波骨軟組織学会は、運動器領域における骨・軟部組織を対象に、安全な超音波技術を用いた観察法・診察法を確立するため、超音波音響工学と解剖学・組織学の基礎学理を用いて生体情報観察の応用に関する研究の情報交換を行い、柔道整復、スポーツ医科学、整形外科等の関連諸科学分野への臨床的な応用普及を図り、社会ならびに実務に反映させることを活動の目的としています。
本学会の会員数は昨年度末で既に1300名を超え、その殆どは柔道整復師です。柔道整復師の施術現場における超音波観察については長らく議論がありましたが、平成15年9月に厚生労働省が「柔道整復師が施術に関わる判断の参考とする超音波検査については、柔道整復の業務の中で行われることもある」と認める見解を出したことが知られています。
本学会ではそれに先立つ平成15年1月に、柔道整復師の業務範囲内で患者さんのそれぞれの臨床状況に応じて、安全で最も適切な運用方法を選択できるように、体系的に説明した小冊子『接骨院・整骨院における超音波観察・診断装置の運用のためのガイドライン』を刊行し、会員並びに社会に対して掲示しています。
本学会で開催する学術集会や分科会には、医師や大学のスポーツ科学系の教員による基調講演、日常の臨床現場を基点とした症例発表や研究発表、ひとつのテーマを探究したパネルディスカッションと共に、入門編・初級編・中級編とステップアップしていく教育セミナーシリーズが併設されています。
最近の超音波機器は技術革新によって画像の解像度も良くなり、また小型化も進み、臨床の現場は勿論のこと、出張診療やスポーツ競技会場などの現場への持参も容易にでき、より迅速に的確な病態把握や判断が可能になっています。そのような機器の発達を生かしながら、われわれが業務範囲内で安全に超音波観察の活用の機会を広げている事実を、社会により広く認識していただくためにも、より多くの柔道整復師の方に研鑽の輪が広がることを願っています。