これからは、みなさまからより多くのデータをお持ちいただきたいと思います。 ご協力いただきますようお願いします。という中村辰三会長(兵庫県)のご挨拶で、本日の学会がスタートしました。
【基調講演】 司会:渡辺 正哉(愛知県)
「下腿三頭筋の弾性要素:腱組織と足アーチ」
早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 川上 泰雄 先生
「下腿三頭筋の弾性要素:腱組織と足アーチ」と言うタイトルで、早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 川上泰雄先生より、エコーやMRIなどの画像解析手法を用いた筋・腱の形態的・機能的特性の計測と評価研究の成果をお話し頂きました。
収縮要素とされる骨格筋を構成する筋繊維を中心とした筋腹と、弾性要素とされる腱組織との間では、収縮中に顕著な相互作用を生じることが分かっているが、最近の研究で腱組織のふるまいが各推定式による単純な線形バネとしては説明できないという問題提起がされていることから、腱組織と構造の二次元的変化、また等尺性・伸張性における筋・腱のふるまいの変化について。さらに、下腿三頭筋の場合、アキレス腱が停止する踵骨等が構成する骨が他の骨と共に構造する足が、筋腱複合体の長さ変化によって変形することが知られ、直列弾性要素と認識されつつあることなど、非常に詳細なデータを基に解説して頂きました。
中でも、腱組織の超弾性的ふるまいのメカニズムの説明において、腱膜内に埋め込まれた筋繊維との長さ力関係が腱膜の弾性要素に関係していると考えられることや、筋束のパワーをため込む弾性エネルギーを使う装置であるとされる腱組織と筋束のパワーの受け渡しのタイミングの失敗により肉離れが引き起こされることなど非常に興味深い内容の講演を頂きました。
川上 康雄先生
渡辺 正哉先生
パネリスト:川上 康雄(早稲田大学スポーツ科学学術院 教授)
渡辺 正哉(東京福祉大学 講師、名古屋市立大学医学部 TA)
金尾 顕郎(森ノ宮医療大学 保健医療学部 学部長、教授)
川畑 浩久(森ノ宮医療大学 保健医療学部 助教)
発表:
★「ヒラメ筋が腓腹筋の安定を決定する」
渡辺 正哉先生
★「膝関節十字靱帯損傷患者の安定性について」
金尾 顕郎先生
★「低出力超音波パルス(low intensity pulsed ultrasound)が靭帯損傷に与える影響~高度の不安定性を有した第5趾趾節間脱臼の症例を通じて」
川畑 浩久先生
会場からの質問も多数で、大変盛り上がりました。
パネリストの先生方
昼の休憩を挟んで午後からは教育セミナーの部でした。寺原雅典先生による入門編では「下肢(健常例)」を主なテーマに音響工学の基礎から超音波の仕組み・特徴と健常例の超音波画像の撮り方などをご説明いただきました。 講師:
寺原 雅典 先生(宮城県) 初級編「上肢」−
大原康宏先生による初級編では「上肢」を各部位の解剖画像、ランドマーク、超音波画像の解説、観察可能な傷病例などをご説明頂きました。その後デモ機9台の置かれた場所に分かれ実際に肩関節(上腕骨結節間溝、棘上筋腱板)肘関節(肘関節前面、肘関節内側・外側)手指関節(橈骨リスター結節、手根管部、指関節掌側)の画像描出を皆さんで行いました。こちらも皆さん熱心に取り組まれ、時間が迫っても終わる様子が無い位でした。 講師:
大原 康宏 先生(福岡県) インストラクター:
川村 茂先生 (京都府)、木下 真道先生(石川県)、徳田 仁志先生(石川県)、
奥村 卓巳先生(愛知県)、小洞 大和先生(愛知県)、小池 翼先生 (愛知県)、
菊本 智史先生(愛知県)、金田 晋先生 (愛知県) 、 酒本 哲聖先生(大阪府)
10月30日に全国大会が行われますので、お時間がございましたらまた皆さんと貴重な時間を共に過ごしたいと思います。本日は貴重なお時間ありがとうございました。という澤田規理事(京都府)の
ご挨拶で本日の学会は無事に終了致しました。