【研究発表第1部】
座長:竹市勝(東京都) 副座長:柳田雅彦(茨城県)
座長:竹市勝先生(左) 副座長:柳田雅彦先生(右)
★研究発表1
「成人女性の足部の可動性と筋力および結合組織の形態的・力学的特性の妊娠中の変化」
吉川 亜有美、岩沼 聡一朗、川上 泰雄
妊娠期間の経過に伴い、関節可動域が増加するという背景があり、妊婦の足部の可動性と筋力
および結合組織の形態的・力学的特性とその変化を経時的に追跡することを目的に研究発表が
されました。
★研究発表2
「サッカー選手116人232足の第5中足骨の超音波検診」
矢島 勇、坂本 哲也
①外傷・障害の既往がなく、第5中足骨基底部に副骨が存在する可能性があること
②副骨の有無、外傷・障害の有無に関する超音波集団検診を行った結果を報告されました。
★研究発表3
「健常成人における荷重位膝内側半月板の逸脱について-非荷重位との比較-」
井上 彰、木村 淳志、大川 尊規、鶴田 崇、山口 拓嗣、緑川 孝二
①内側型変形性膝関節症患者の荷重時における膝内側痛の原因として、内側関節包の滑膜炎や
靭帯への刺激が報告されている。②刺激メカニズムは、内側半月板の内側への逸脱があり、
MRI等で明らかになっている。③内側型変形性膝関節症患者は荷重を伴う動作時の疼痛を
訴える事が多い為、荷重位での評価が必要と考える。このことを踏まえ、健常成人の
荷重位での内側半月板の逸脱量及び変化率を知る目的で超音波検査機器を用いて調査
した結果が報告されました。
★研究発表4
「フラクタル次元解析法を用いた筋損傷に対する評価法の検討」
澤田 規、綾田 剣一、中村 辰三
筋損傷は臨床において遭遇しやすい疾患であるが、徒手検査では損傷程度の判断は熟練
を要する。筋損傷の障害程度を判断する方法として、超音波画像診断装置が用いられている。
しかし損傷度を数値化して評価する方法はなく画像の描出テクニックや読影技術の習得が
重要であるということを踏まえて、ラットを用いて実験的筋損傷モデルを作成し超音波画像の
周波数解析により損傷度を客観的に評価することを目的として研究を行った結果の報告がされ
ました。
吉川 亜有美 先生
矢島 勇 先生
井上 彰 先生
澤田 規 先生
「肩疾患と下肢・体幹の関連」
永澤 雷太 函館五稜郭病院 整形外科医長
司会:
坂本 哲也 先生(埼玉県) 講演者:
永澤 雷太 先生 データに基づいた解析が苦手ですので、視覚的にわかりやすいスライドに作ってきましたので、紙芝居だと思って楽しんでみて頂けたらと思います。というお話で、基調講演がスタートいたしました。
内容的には第9回 東日本支部 北海道分科会で好評だったものに少し補足したご講演でした。
(参照:第9回東日本支部北海道分科会)
座長:佐藤 和伸(東京都) 副座長:曽山 良之輔(新潟県)
座長:佐藤 和伸先生(左) 副座長:曽山 良之輔先生(右)
★研究発表5
「ばね指におけるアプローチ法について」
杉村 美佳、山田 直樹
ばね指の観察方法については、ホッケースティック型プローブを用いての描出が一般的である。
今回、リニアプローブを用いて、ばね指におけるA1pulley、浅指屈筋腱、深指屈筋腱に対する
アプローチ法を検討し、新たな観察法として提案することを目的とした研究を報告されました。
★研究発表6
「超音波観察におけるアキレス腱の解剖」
天野 友子、近藤 英隆
アキレス腱は一般的に腓腹筋とヒラメ筋が共同腱となり踵骨に付着すると言われている。
しかし、今回の研究ではアキレス腱の超音波観察を行うと、その構造にいくつかの違いが
ある事が観察された。
実際にご献体のアキレス腱の超音波観察と肉眼による観察の両方を行い、実際のアキレス腱の
構造について比較検討した。今回は便宜上3パターンに分類され、その損傷の仕方についても
検討し、報告されました。
★研究発表7
超音波診断装置を用いた膝関節外側側副靭帯とその周囲組織の研究
佐々木 航、齋藤 豪、坂本 哲也
柔道整復師の臨床で遭遇する原因不明の膝関節外側部痛を解明するために、外側側副靭帯に
注目した。エコーで膝外側部周辺を観察し、解剖学的手法を用いて、膝関節外側側副靭帯に
分布する神経枝とその周囲組織の構造を研究し、報告されました。
★研究発表8
肩関節前方脱臼におけるRisk Hedgeのための整復前超音波撮影部位の考察
奥山 建志、前田 尚利、澤田 規
外傷性の肩関節脱臼を治療する際は、医師によるレントゲン検査等を依頼する前に応急処置
として柔道整復師が徒手的に整復することが多く、後に精密検査した際に整復自の合併症を指摘
されるケースがある。今回、肩関節前方脱臼(烏口下脱臼)に対して整復前に超音波診断装置
を用いて、患部を観察する事によりHill-Sachs lesionや上腕骨大結節剥離骨折などを発見し、
整復前に合併した損傷ではない事を照明する事ができた3症例を報告されました。
杉村 美佳 先生
天野 友子 先生
佐々木 航 先生
奥山 建志 先生
「肩の障害の保存療法について」
帝京平成大学 健康メディカル学部 教授
渡會 公治 先生
司会:
川上 康雄 先生(東京都) 講演者:
渡會 公治 先生 始めに、渡會先生より会場の柔道整復師の先生方にアンケートをとらせて頂きました。
※アンケートに対する渡會先生のコメントはこちら
23年間体育教師をしながら整形外科医をしていた渡會先生。
本日は、整形外科医としてとにかく保存療法についてのお話ばかりするのではなく、新しい違った角度からの話をしていきたいと思いますので、そのような見方で聞いて頂ければと思います。というお話の後、講演がスタート致しました。
肩について、いろんな日常生活の動きや、スポーツでの障害についての例を挙げられ、負担にならないような肩の動きの紹介もしてくださいました。脱臼の簡単な治し方として、体育の教師をやっていたときに偶然見つけた整復法を紹介してくださいました。
参加者もそんなに簡単にできてしまうのかと、驚きながらも興味深い様子で聞いてました。
また、投げる動作について正しい投球動作についてのお話がありました。真下に投げると体幹の動きが良くなるというお話があり、実際にいくつかの例として動画を交えて解りやすくご説明いただきました。
【優秀発表(最優秀賞、大会賞)の表彰】 ★大会賞
「ばね指におけるアプローチ法について」
杉村 美佳 先生
★最優秀賞
「フラクタル次元解析法を用いた筋損傷に対する評価法の検討」
澤田 規 先生
大会賞表彰の様子(左:杉村美佳先生、右:佐藤和伸学会副会長)
最優秀賞の様子(左:澤田規先生、右:佐藤和伸学会副会長) 佐藤和伸学会副会長より表彰状と研究奨励金の授与があった後、竹市勝学会理事・諮問委員より、「大会賞は新たなアプローチ方法にチャレンジしたという取り組みで大会賞に選ばせて頂きました。最優秀賞は数値をみる事によって、治癒の段階を客観的に評価したという事で、この先このような評価方法がより画期的なものになってくるのではないかという事で選ばせて頂きました。」という講評がありました。